ただ真っ直ぐに、君が好き。
「あ~、行く、か」

「うん!」




昨日は緊張しすぎて眠れなかったけど、今は不思議と気分が良くて、ちょっぴり楽しみなくらい。

良い子って、思われたら良いなぁ~。

私は力んで矢原くんに声をかける。



「矢原くんっ!」

「ん?」

「私、頑張るねっ!」

「おう」



矢原くんも嬉しそう。

頬が緩んでる。



「でもその前に!」



矢原くんに、いきなり頬を摘ままれた。



「ふえ!?」

「その"矢原くん"ってやめようぜ?」

「なん、で?」

「だって、今から俺の家に来るんだろ?俺の家族は全員矢原だぜ?」

「あっ!」



そっか、名前で呼ばないとみんな一斉に振り向いちゃう!

どうしよう…

呼びたい、けど。



「嫌なら別にいいけど」

「い、やだ!」



自分でもビックリするくらい、反射的にそう言った。

矢原くんもビックリしてる。



「えっ、と、今言わないと後も言えないでいちゃう!から、言わせて?」

「お、おう」

「あ、アオくん?とか」



蒼人くんとまでははっきり言えなくて、アオくんって呼んでしまったけど、アオくんは



「おう!」



と笑っていて、とても幼い子供のように見えた。

あー、可愛いなぁ、とか思いながら、私は口元を緩めた。

もう少しアオくんを見ていたかったけど、流石に時間が迫っているのでアオくんの家に向かった。
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