【完結】完璧上司の裏の顔 オタクなコスプレ配信者♀、実はファンだった上司に溺愛求婚される
聞こえている。けれど気にしない。
なにせ、千紗には世界に100万人のリスナーがいる。演奏も認めてくれる。
人の目なんかもうどうだっていい──だからなんとでも言えばいいんだ。
自分に言い聞かせはしたが、悔しい気持ちは多少ある。
父親が急死しなければ、自分もあんなふうにキラキラした生活があったのだろうか。
いや、性格的にそれはないのだが、安定した暮らしができるのは羨ましい。
きっと立花は将来は、六本木辺りのタマワンでも住んでトイプードルを飼い、子供に凝った名前をつけて、たくさん習い事でもさせるんだろう。
僻み根性丸出しの妄想を膨らませながら、千紗は、仕事を終わらせた。
「あれ、その仕事高倉さんがしたの?」
「あ、はい。バイトがしたらまずかったですか」
声をかけてきたのは、この会社の部長の井村だった。
「それ立花さんに頼んだんだけど、高倉さん時間大丈夫なの? 契約五時までだよね」
「すぐ終わります」