【完結】完璧上司の裏の顔 オタクなコスプレ配信者♀、実はファンだった上司に溺愛求婚される
序章
千紗は、今まさに会社の苦手な上司の井村に、迫られていた。
「まままま、待ってくださ」
「もう待たない。決めたんだ。俺のこと好きだって言ってくれたよね」
「そ、それは、別の人だと思ってたから」
「君がネットで好きだって言ってた男は俺なんだよ。だから──」
動画配信を生業にしている千紗には、オンライン上で恋人ごっこをしているファンがいた。その名を田吾作という。リアルで会ったことはない。
その田吾作が、実は会社の上司の井村だったと言われたのだ。
「二人が同一人物なんて信じません。一体どういうことですか」
「偶然知って、それからこっそり君の動画見て、ストーカーみたいなことしてる。黙っててごめん」
「私なんてリアルじゃただの地味なだけの人間で……」
「そんな眼鏡くらいで君のかわいさはぜんっぜん隠しきれてないから。駄々洩れだよ。もう嫌なんだ。オンラインだけじゃ」
「嘘だって言ってください」
「ずっと埋まらない距離がもどかしかった。君はネットでは素直に甘えてくるのに、会社ではいつも塩対応ばっかりで。嫌われてると思ってどんどん言い出せなくなったんだ」
「本当に田吾作さんなんですか」
「ん。もう黙って」
千紗の意見など不要だと、唇を塞がれた。
──一体どういうこと?
いつもは紳士でさわやかな上司が、オンライン上で別人を騙り千紗を騙していた?
ことの真偽はともかく、とりあえず頭が沸騰してなにも考えられなくなった。
「まままま、待ってくださ」
「もう待たない。決めたんだ。俺のこと好きだって言ってくれたよね」
「そ、それは、別の人だと思ってたから」
「君がネットで好きだって言ってた男は俺なんだよ。だから──」
動画配信を生業にしている千紗には、オンライン上で恋人ごっこをしているファンがいた。その名を田吾作という。リアルで会ったことはない。
その田吾作が、実は会社の上司の井村だったと言われたのだ。
「二人が同一人物なんて信じません。一体どういうことですか」
「偶然知って、それからこっそり君の動画見て、ストーカーみたいなことしてる。黙っててごめん」
「私なんてリアルじゃただの地味なだけの人間で……」
「そんな眼鏡くらいで君のかわいさはぜんっぜん隠しきれてないから。駄々洩れだよ。もう嫌なんだ。オンラインだけじゃ」
「嘘だって言ってください」
「ずっと埋まらない距離がもどかしかった。君はネットでは素直に甘えてくるのに、会社ではいつも塩対応ばっかりで。嫌われてると思ってどんどん言い出せなくなったんだ」
「本当に田吾作さんなんですか」
「ん。もう黙って」
千紗の意見など不要だと、唇を塞がれた。
──一体どういうこと?
いつもは紳士でさわやかな上司が、オンライン上で別人を騙り千紗を騙していた?
ことの真偽はともかく、とりあえず頭が沸騰してなにも考えられなくなった。