【完結】完璧上司の裏の顔 オタクなコスプレ配信者♀、実はファンだった上司に溺愛求婚される
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一か月後、やっと準備が整い、配信することにした。機材のそろっている自宅で生配信することにした。
「井村さん、もし良かったら隣の部屋で待っていてもらえませんか。なんていうか、いてくれると安心するんです」
「もちろんいいよ」
千紗が決めたことを尊重し、なにも言わず見守り続けてくれた日々だった。いつも変わらない木漏れ日のような眼差し。いつの間にかなくてはならない人になっている。
自分なんかで本当にいいのかと戸惑う。
一人になり、生配信を始める。
何度か深呼吸して鼓動を落ち着かせてから話し出す。今日はお面もつけていないし、コスプレもしていない。普通の白いブラウスに黒いパンツ姿だった。
「こんにちは。えっと……色々お騒がせして申し訳ありませんでした。事件については、私は大きな怪我もなくて、無事です」
千紗は、淡々と父親が新しい事業を興そうとした矢先に亡くなってしまい、借金の返済のため動画配信を始めたこと。最初はお金だけが目当てだったが、応援してくれる人も増え、演奏するのが楽しかったことなどをゆっくり自分の言葉で話した。
「これまで顔出しせずにやってきましたが、騒ぎが大きくなったのでもう隠す意味もないので、今日はこのまま行きます」