【完結】完璧上司の裏の顔 オタクなコスプレ配信者♀、実はファンだった上司に溺愛求婚される
「我が娘ながら、キレイだわねぇ。せっかく美人に生んだのに、あなたは昔から女の子らしい格好に興味がなくって、お父さんに似てオタク趣味だったから……」
数か月後、井村の海外赴任に合わせて超特急で結婚式が行われた。
腰のラインがきゅっと締まったプリンセスラインのウェディングドレスは、千紗の元のスタイルの良さを際立たせていた。
スカートには幾重にもレースが重ねられ、ふんだんにビーズが縫い付けられている。
黒い長い髪をシンプルにまとめ、頭上に大小の真珠がついたティアラをつけると、なんだか別人のようだった。
控室に様子を見にきた井村の姉とその子供たちが、千紗を見てキャッキャとはしゃいでいた。
「お姫様みたい」
「かわいい。私もあんなの着たいなぁ」
「ほんとねぇ。うっとりしちゃう。聖、今頃がちがちに緊張してそう。千紗さんにベタ惚れだから」
被害者とはいえ、事件に巻き込まれて炎上もした身で井村の実家に挨拶に行く時は緊張したが、両親も喜んでくれてほっとした。
彼の両親らしい愛情に満ちた優しい人たちだった。
一人っ子の千紗を海外へ連れて行っていいのかと心配もしてくれた。
心配していた母はすっかり元気を取り戻して、東京の家で茶道教室を再開させていた。生徒が増えたこともあり、生き生きとしている。