聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

宝物


「お姉ちゃんお姉ちゃん!今日は紫呉さんたちと会わないの?」



「え、えぇっ…?そんなこと言われても…」



「何言ってるの?お姉ちゃんは彼女なんだから、会いたいな♡って言えば会いに来てくれるに決まってるよ!」



「言えるわけないよっ…!」



あーちゃんがさらわれた次の日の朝。



あーちゃんと歩く通学路は、いつもより騒がしいです。



「なんでよー?だって紫呉さん、お姉ちゃんにベタ惚れじゃん。大丈夫だって!」



「そ、そうかなぁ…?」



なぜか私よりも自信満々に言い切るあーちゃんが、不思議で仕方がない。



ベタ惚れじゃん…って言われても、形だけのお付き合いなんだけど…。



紫呉さんが彼氏じゃないって言うタイミング、完璧に逃しちゃったよね。



今さら言っても信じてもらえるかわからないし、とりあえずそういうことにしておこうかな…。
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