聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

あーちゃんと変な約束しちゃった…。



そういえば、まだ紫呉さんと連絡先を交換していなかったのを思い出して肩を落とす。




いつ会えるかもわからないうえに、連絡先もわからないなんて…。



聞いておけばよかったと今さら後悔。



でも、自分から言うのはちょっと恥ずかしいというか…勇気が出ない。



連絡先を聞く=連絡を取りたいと思われるのは、避けられないよね。



そう思ってしまうのは、意気地無し以外の何物でもないだろう。



……いや、とにかく学校に行かないと。



考えたところで、今紫呉さんに会えるわけではない。



そろそろ駅から歩いてくる生徒たちが増えてくる頃だ。



また見られているような感じがする中を歩くのは、できるだけ避けたい。



「はぁ…朝から憂鬱だなぁ…」



誰にも聞こえないように呟いてから、足を速めて高校に向かった。
< 108 / 326 >

この作品をシェア

pagetop