聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
冷水を浴びせるようにピシャリと言い放った紫呉さんの声は、氷のように冷たい。
「もっと賢い方だと思っていたんですが…俺の思い違だったみたいですね」
怒鳴りつけるわけでもなく、淡々と話しているだけ。
それなのに、どうしてこんなにも威厳を感じるのだろうか。
周りを威圧するようなその言い方。
彼が“総長”であるということを、強く感じさせるのには充分すぎる。
「「「…す、すみませんでしたぁ!!」」」
男の人たちの重なった声に、またビクッと肩が跳ねた。
…慣れるまで、かかりそうかも。
仕方ないかな…なんて、若干諦めていた私の頭に置かれた、優しい手のひら。
「翠…こっちを見てください」
…?なんだろう…?
紫呉さんの声を聞いて顔を上げると。
───チュッ
おでこに落とされた、柔らかな感触。