聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「っ、!?」



その一点からぶわっと広がってた熱が、全身を駆け巡っていく。



「しばらく2人だけの時間にしてください。また1時間後、ここに集合ということで。行きますよ、翠」



「えっ、し、紫呉さん…?!」



まだ人様に見せられる顔になっていないと言うのに、優しく手を引かれて他の部屋へと入ってしまった。



「……すみません、勝手なことしました」



部屋に入った途端、ぎゅうっと抱きしめられて謝られる。



私じゃなくて、あの人たちに言うべきなんじゃ…?



謝る相手が違うような気もするけど、紫呉さんがいつもと違って何も言えない。



「翠を彼らに紹介したかった…それは本当なんです。ただ…」



珍しく言い淀んだ紫呉さんの言葉を待っていたら、温かい手のひらが頬に添えられて。
< 126 / 326 >

この作品をシェア

pagetop