聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「っ、!?」
その一点からぶわっと広がってた熱が、全身を駆け巡っていく。
「しばらく2人だけの時間にしてください。また1時間後、ここに集合ということで。行きますよ、翠」
「えっ、し、紫呉さん…?!」
まだ人様に見せられる顔になっていないと言うのに、優しく手を引かれて他の部屋へと入ってしまった。
「……すみません、勝手なことしました」
部屋に入った途端、ぎゅうっと抱きしめられて謝られる。
私じゃなくて、あの人たちに言うべきなんじゃ…?
謝る相手が違うような気もするけど、紫呉さんがいつもと違って何も言えない。
「翠を彼らに紹介したかった…それは本当なんです。ただ…」
珍しく言い淀んだ紫呉さんの言葉を待っていたら、温かい手のひらが頬に添えられて。