聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「彼らは仲間なのに、信頼しているはずなのに…翠のことになると、自制が効かなくなる。こんなことは初めてで、自分でも戸惑っているんです」
……嫌いになんて。
「…なるはず、ないです」
「…翠?」
「嫌いになんて、なるわけありません」
紫呉さんを嫌うことは、一生ないに決まってる。
「っ、ほんとですか?」
瞳を潤ませる紫呉さんをしっかり見つめ返し、声に気持ちを込めて返事をした。
「はい」
こんなに自分の意志をハッキリと伝えたことが、今までにあっただろうか。
誤解されたくない。
ちゃんとわかっていて欲しい。
そんな思いで話そうとしたことは、きっとないと思う。
いつも真っ直ぐに伝えてくれる紫呉さんだから、私もそうじゃないといけないとも思った。
「私…紫呉さんが思ってるよりずっと、紫呉さんのこと…」