聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「行ってらっしゃ〜い」
お母さんの声に見送られて玄関を飛び出す。
今日はあーちゃんは部活の朝練のために、早く出てしまったから一人での登校になる。
話し相手がいないこの時間は、ちょっとだけ寂しい。
あーちゃん今頃頑張ってるかなぁ…。
あーちゃんはバスケ部に入っていて、よく試合で活躍しているという。
試合の応援に行きたくて何度も言っているんだけど、「絶対来ないで!」の一点張り。
こっそり行こうと思った時もあった。
でも、あーちゃんが嫌がることはしたくないの。
許可を貰えるまで、いっぱいお願いするしかないんだ。
ふふっ、あーちゃんは運動神経抜群だから、きっとかっこいいんだろうなぁ…。
あーちゃんがバスケをする姿を想像して、自然と口角が上がる。
周りに人がいるとも思わなかった私は、特に気にもせず妄想に花を咲かせていた。