聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい


***



「っはぁ、はぁ……もう、いない…よね?」



私なりに全力疾走をしていたら、いつの間にか学校に着いていた。



辺りをキョロキョロして、さっきの人がいないか確認する。



………うん、大丈夫。



ふぅ…と膝に手を付き、安堵していたら。



「翠、そんな汗だくでどしたん?」



「わぁっ?!」



誰かに肩に手を置かれて、思わず大声を上げてしまった。



「ちょっ、そんなびっくりする?あたしだよ、あたし!」



振り返って顔を見ると、目をパチパチさせている彩那ちゃんの姿が。



「さ、彩那ちゃんかぁ〜…びっくりしたぁ…」



未だにバクバクしている心臓が、どれほど驚いたのかを証明している。



「翠がそんなに取り乱すなんて珍しーね?大丈夫?」



心配そうに私の顔を覗き込む彩那ちゃんと、首を捻る私。



「う、うぅーん…」



大丈夫…とは言い難いけど。
< 135 / 326 >

この作品をシェア

pagetop