聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
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「っはぁ、はぁ……もう、いない…よね?」
私なりに全力疾走をしていたら、いつの間にか学校に着いていた。
辺りをキョロキョロして、さっきの人がいないか確認する。
………うん、大丈夫。
ふぅ…と膝に手を付き、安堵していたら。
「翠、そんな汗だくでどしたん?」
「わぁっ?!」
誰かに肩に手を置かれて、思わず大声を上げてしまった。
「ちょっ、そんなびっくりする?あたしだよ、あたし!」
振り返って顔を見ると、目をパチパチさせている彩那ちゃんの姿が。
「さ、彩那ちゃんかぁ〜…びっくりしたぁ…」
未だにバクバクしている心臓が、どれほど驚いたのかを証明している。
「翠がそんなに取り乱すなんて珍しーね?大丈夫?」
心配そうに私の顔を覗き込む彩那ちゃんと、首を捻る私。
「う、うぅーん…」
大丈夫…とは言い難いけど。