聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
言ったところでどうにかなるわけでもない…ような気もする。
何が正解なのか、恋愛初心者の私にはわかりっこない。
文字通り頭を抱えていたら、スマホがカバン越しに振動した。
『翠、大丈夫ですか?何かありましたか?』
相手は言わずもがな紫呉さんで。
「っ、急がなきゃ…!」
今の今まで悩んでいたのはなんだったのか。
紫呉さんを待たせている。
そう思ったら、体が勝手に動いていた。
返信するのも忘れて下駄箱に向かい、ローファーを履いたあと小走りで校門に向かう。
すると、こちらをずっと見つめていた高身長の美男子…紫呉さんが、私を見てほっとした顔を見せた。
「っ…」
そんな紫呉さんを見て、ズキリと胸が痛む。
私が無駄に時間を過ごしている間も、ずっと待ってくれていたのに…最低だ。
「っすみません…!遅くなりましたっ…」
紫呉さんが口を開く前に、全力で謝った。