聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
あなたの香り
「紫呉さんは、よくここに来るんですか…?」
「いえ、半年に一回くらい…ですね。何回も来るのは面倒ですから」
汚れ一つないショーウィンドウ。
そこに映る、横に並んだ私たちの姿。
奥には、色とりどりできらびやかな可愛らしい小瓶が見えていて。
【fleur cherie】
アクリル板に金色の文字で書かれたオシャレな看板は、このお店に似合いすぎている。
紫呉さんに連れてこられたところ。
それは、紫呉さん行きつけの香水屋さんだった。
「すごい綺麗です…びっくりしちゃいました」
「…たしかに、外構も内装も凝ってる方かもしれません。よくこの状態を何年も保ってるものです」
…と言いつつ、特に感動した様子でもないような…?
あまり感情を感じさせない言い方だから、本当に思っているのかいまいち分からない。
そんな紫呉さんに対して私は、心の底から驚いていた。