聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「翠はこんなにも可愛いんです。何時間でも見ていられますよ」
逸らすことを許してくれないその瞳。
「ふっ…なんて、そんなことをしたら翠が真っ赤になって倒れてしまいますね」
意地悪く笑う薄い唇も、私だけに向けられているものじゃないってわかっている。
「っ…もうっ、早く入りましょう!」
「あ、翠が怒っちゃいました」
「怒ってません…!」
だから、あんまりこの気持ちを加速させたくない。
こうやって紫呉さんと笑い合える時間を、もっと大切にしたいって思う。
「すみません、意地悪しすぎました。遅くなってもいけませんし、そろそろ見ましょうか」
腕に光る時計をチラリと確認した紫呉さんと一緒に、ようやく店内に足を踏み入れた。