聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
全身から血の気が引いていく感覚。
「す、すみませ…っ」
慌てて謝ろうとしたんだけど、その前に紫呉さんが顔をしかめて口を開いた。
「仁さんは本当、空気が読めない大人ですね」
………仁さん?
私には聞き覚えのない名前でも、どうやら紫呉さんは彼のことを知っているようで。
「って、誰かと思ったら紫呉かよ。3ヶ月ぶりか?変わらねぇなぁお前も」
「そんな短期間で変わるわけないでしょう?」
「ハハッ、クソ生意気なとこもろ昔のまんま。ま、それでこそ紫呉だ。贔屓にしてくれよ、常連さん」
「仁さん」と呼ばれた彼もまた、紫呉さんのことを知っているようだった。
「あぁ、あとそこのお嬢さんも、よければゆっくり見ていってくれ。紫呉の彼女なんだろ?」
ニカッと笑った彼の笑顔はさながら太陽のように眩しいのに、どこか大人の余裕を感じさせる。