聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
Chapter3
愚かで、愚鈍
「…んなわけで、この店のオーナー兼店長の榊枝 仁だ。よろしくな」
快活に笑うダンディーな男性……榊枝さんは、なんとこのお店の店長さんだと言う。
勝手に女の人がやってるイメージだったから、ちょっとびっくりしちゃった。
って、いけない…!私も自己紹介しなくちゃ!
「は、春風翠です…!こちらこそよろしくお願いしますっ…!」
慌てて名乗り、頭をペコッと下げる。
なんだか緊張しちゃって、それくらいしか言葉が出てこない。
榊枝さんが怖そうとか、決してそういうわけじゃないんだけど…。
「ははっ、俺にそんなかしこまらくていいから。気軽に仁って呼んでくれ。榊枝って長いだろ?」
高校生の私相手にもフレンドリーに接してくれる仁さんに感じる、大人の余裕…っていうのかな。
そういうオーラが、私にはとても大人びて見える。
「えぇっと…仁さん?」
躊躇いがちにそう呼ぶと、仁さんはニカッと笑ってくれた。
か、カッコイイ……。
紫呉さんだってもちろん、言うまでもなくかっこいいし、中身だって外見に劣らずどこまでも完璧だ。