聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

蓮見先輩に告白されたこと、そしてその蓮見先輩からゼラニウムの香りがしたことを。



それでもし嫌われてしまったら…と考えるだけでも、怖くてたまらなくなる。



だけど……紫呉さんに嘘をつく方がもっともっと嫌だから、きちんと話そう。



「…紫呉、さん」



「ん…?どうしました?」



目を細めて私の顔を覗き込む紫呉さんに、胸がきゅんと鳴った。



それは、さっきまでの気分が悪さが徐々に良くなってきている証拠。



…やっぱり、私は紫呉さんのことが大好き。



まだまだ言うには勇気がないけど、いつかは貴方に伝えたい。



「もう大丈夫です、ありがとうございます」



私も紫呉さんの目を真っ直ぐに見て、なるべく笑顔でそう言った。



「ごめんなさい」って言ったとき、紫呉さんはとても苦しそうに顔を歪めていたけれど。
< 187 / 326 >

この作品をシェア

pagetop