聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
一刻も早く逃げないと、また昨日みたいなことになりかねない。
でも、私の力じゃ到底敵わないし…一体どうすれば…?
この状況を打破する方法を考えるため、怖さと気持ち悪さに耐えていると。
「…怖い?僕のこと」
ぽつり、蓮見先輩がこぼした。
それはとても小さくて、拾えたことが奇跡に思えるくらいの呟きだった。
「え…っ?」
「…ごめんね。ただ、僕は…君が好きなだけなんだ。それ以上でも以下でもない」
続けて囁くそのセリフに、胸がぎゅうっと締め付けられる。
蓮見先輩が、今どんな顔をして言っているのかはわからない。
ただわかるのは、いつもの彼より声がワントーン低いということ。
回された腕に籠る熱が、徐々に私へと伝染していく。
「ずっとずっと…春風さんを探してたよ。もう、忘れちゃった?」
「探してた」……?「忘れちゃった?」……?
蓮見先輩は、何を言っているんだろう。