聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
わからないのに、何故か思い出さないといけないと直感的に思った。
えぇっと、たしか………。
『蓮見壱春先輩って言うんだけど…本当に知らない?』
これは、彩那ちゃんが教えてくれた蓮見先輩のフルネーム。
下の名前、は…………“壱春”。
“ハルちゃん”と“壱春”。
『迎えに来る』という蓮見先輩の言葉。
悲しそうに唇を結ぶ、あの子の泣き顔。
点と点が、繋がった気がした。
「────“ハルちゃん”、ですか…?」
声が震える。
蓮見先輩の眉が下がり、ゆるりと口角があがった。
「…なんだ、覚えててくれたの?意地悪だね、忘れたフリするなんて」
今までずっと隠れて見えなかった彼の本当の素顔。
「幼稚園の頃から、ずっと好きだったよ。もう離さない。今度こそ、僕のお姫様になって」
嬉しそうに笑う蓮見先輩の表情は、ハルちゃんの花が咲くような笑顔と同じものだった。