聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「大好きな人が、いるんです。その人のこと以外、考えられないんです。だから…ごめんなさい」



優しさなんて微塵も感じない言い方をしてしまった。



でも…そうするべきだとも思ったの。



曖昧に濁してその場を取り繕うよりも、いいんじゃないのかなって…。



それが“真摯に向き合う”ってことなんじゃないかと、私は思った。



っ…怖くて顔、上げられないっ…。



謝った時に下げた頭が上げられなくて、ただ蓮見先輩の言葉を待つ。



「……そう。なら仕方ないか」



抑揚のない平坦な声。



感情の起伏が全く感じられず、怒っているのかどうかさえわからない。



「春風さん、顔上げて」



「っ…」



気がつけばいつの間にか、足元には黒い影が見えていた。



恐る恐る、顔を上げて……後悔した。



「あーあ…泣いちゃった。かーわい」



硬直する私の頬をするりと撫で、そのまま包み込んで口角を上げる。
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