聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
それくらい周囲の視線に晒されている。
「…よく逃げなかったね?えらいえらい」
顔を寄せ、耳元で囁きながら頭を撫でてくる蓮見先輩。
紫呉さんに触れられたときはあんなにドキドキして、嬉しい気持ちでいっぱいになるけど。
蓮見先輩は、全くそれを感じない。
むしろ、嫌悪感が増幅されていくよう。
「…っさ、触らないで、ください…」
「へぇ…僕にそんな口聞いていいの?『Nova』の紫呉って人と、あの彩那って子がどうなってもいいんだ?」
「っ…!!な、なんでっ…」
この人が、紫呉さんのことを知ってるの…?
それに、彩那ちゃんの名前も……。
そう言おうとして、口を固く結んだ。
…不用意にペラペラ喋ったら、もっと状況が悪化してしまうかもしれない。
私の発言が誰かを追い詰めてしまうのなら、何も言わない方がマシな気がする。
もうこれ以上墓穴を掘るわけにはいかないのだから。