聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

鳥籠のお姫様


「こ、ここは……」



「もうバレてると思うから言うけど、このビルは『Radical』が所有する建物だよ。Radical…っていうより、“僕の父親の”って言った方が正しいかもね」



連れてこられたのは、人気のない裏路地。



目の前にそびえ立つ廃ビルを見て、蓮見先輩の話を聞いた後に言葉を失った。



『Radical』ってそんなに大きい組織なの…?



いや、それよりも蓮見先輩のお父さんって一体…?



次から次へと浮かび上がってくるいくつもの疑問に、不用意に言葉を発さないと決めたものの思わず聞きたくなってしまう。



それら全てを飲み込み、何も言うまいと無言を貫く。



扉の奥から聞こえてくる下品な笑い声が耳に入って、とても居心地が悪い。



…もうこの時点で、居心地も何もないけれど。



「………。まぁいいや、行こうか。仲間たちがいるだろうから少しうるさいと思うけど、気にしないでね」



ずっと黙っている私が気に食わないのか、間を空けたあとにそう言いながら扉を開けた。
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