聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
瞬間、聞こえていたはずの話し声や笑い声がピタリと止む。
シーンと静まり返った廃ビルの中。
屋内の内装は、ビルの見た目に反して意外と綺麗だったため少し驚いた。
床に直で座り込んでいるのは、想像上でよく見る不良たちで。
「蓮見さん!!お疲れ様っす!!」
「今日は来られないかと思ってました…!!」
「っつうか、その女は一体……」
全員が即座に立ち上がり、一礼してから一斉に話し始めた。
『Nova』のメンバーの紫呉さんに対する態度と、ほとんど同じだ…。
初めて見るわけでもないのに、やっぱり慣れない光景だからどうしてとビクビクしてしまう。
ひっ……わ、私、見られてる…よね…っ?
大勢の男の人たちの視線が私に向けられて、学校で感じたものとはまた違う不快感に襲われる。
隠れる場所も何もないからただ耐えるしかないんだけど、どうも落ち着かない。