聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
さっきまでの勢いはどこへやら。
着実に恐怖がじわじわと襲いかかっている。
蓮見先輩に言われるがまま、手を引かれて奥のほうにあった階段を上っていく。
カン、カン……と、歩を進める度にアルミ特有の音が響いて、下の階のうるささとはかけ離れた静けさを感じた。
…どこまで行くんだろう。
もう結構上ってきたと思うけど、まだまだあるのかな…。
そろそろ着いてもいい頃なんじゃないかと思い始めたとき、階段の終わりが見えてひとまずホッとした。
「はい、着いたよ。ここはね、翠ちゃんのために用意してた部屋なんだ。気に入ってもらえるといいな」
私の、ため……?
妙な引っ掛かりを覚えたけれど、開けなかったら何をされるかわからない。
ここは従っておこう……。
「…し、失礼します…」
恐る恐る目の前の扉を、ゆっくりと開いた。
「っ…!!?」
目前に広がる光景を目の当たりにしてから、ふらりと目眩が私を襲う。