聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
っだめだ、足が、動かない…っ。
今すぐ逃げなきゃいけないのに、体が言うことを聞いてくれなくて。
「大丈夫、痛いことはしないって言ってるでしょ?翠ちゃんを傷つけたいとはサラサラ思ってないから」
腕を引っ張られた私は、気がつけば私は鉄格子の向こうにいた。
「う……嘘、でしょ…?」
鍵がガチャンっと閉められて、自分が本当に牢屋の中に閉じ込められてしまったのだと認識する。
「…っなんで…?なんで、こんな酷いことするのっ…?」
もう、敬語なんて気にする余裕も無かった。
何もすることができない無力で非力な自分に対する憤りと、非人道的行為を躊躇なくする蓮見先輩への行き場のない気持ち。
他にも色んな感情を混ざり混ざって泣きそうになるのを、何とかこらえる。
「なんで……ね。そんなの言うまでもないよ」
鉄格子にしがみつき、向こう側にいる蓮見先輩を見れば。