聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
肩に力が入るのが自分でもわかって、背筋がピンと伸びる。
そして、さっきまで斗真さんが座っていた位置よりも近くに腰を下ろし…気づけば、私は紫呉さんの腕の中にいた。
「し、紫呉さ…」
「…お願いします。しばらくの間だけ、俺に抱かれていてください」
「…っ、」
紫呉さんの、火照った体から伝わる熱気。
胸の音がドクンドクンとうるさく鳴って、もはやどちらの音かわからない。
……ドキドキしすぎて、息が詰まりそう。
なのに、この感覚がこれほどまでに心地よいと思えるの。
………もう、むりだ。
「………き、です」
「…?翠、今なにか言って───」
紫呉さんに名前を呼ばれたその瞬間、心の中に留めていた感情が、気持が…溢れた。
「っ好き、なんです…。私、紫呉さんの本当の彼女になりたいっ…」
「……っ!!」
紫呉さんの肩が大きく震える。
溢れた想いと一緒に零れた涙が頬に伝った。