聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「翠が俺のためを思ってとった行動だと、頭ではわかっているつもりです。嬉しくないわけがない。でも……」
触れられている優しい手のひらが、壊れ物を扱うかのように柔らかく頬を包み込む。
熱い眼差しが向けられて、紫呉さんから目がそらせない。
「愛する貴女を、俺自身の手で守りたい」
「っ!!」
この人は、どこまで私を喜ばせれば気が済むのだろう。
一つ一つの言葉が私の胸を鳴らして、大きく揺らす。
「この想いが変わることは絶対にありませんし、有り得ません。天地がひっくり返ってもです。よく覚えておいてくださいよ?」
嘘でしょう?なんて、言わないし思えないのが本当に不思議だ。
「っはい…」
紫呉さんがそう言うのなら本当なんだと、いとも簡単に信じてしまう。
それくらい、私の中の紫呉さんという存在が大きくなっている確かな証拠。
頷く以外の選択肢はないんだ。
紫呉さんの言葉にジーンとしていたけれど、一つ気になることがあった。
…聞いても大丈夫かな?
さすがにこれは聞いておかないといけないと思うし…大丈夫なはず。
そう自分に言い聞かせてから、勇気を出して話題を切り出した。