聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
照れていた紫呉さんはもうどこにもいない。
「俺だって、できるだけ紳士でいたいんです。前にも言いましたよね…?翠の前で狼になりたくないと」
目の前にいるは、“男の人”の顔をした紫呉さんで。
「今ここで、息もできないくらいの深いキスを何度もして、ドロドロに甘やかしたい。翠の全部を俺のものにしたくて堪らなくなる…。そう言ったら……ほら、またそんな可愛い顔をするんですから、ずるいですよ」
「…っ!!」
あまりの甘さに、クラクラするの。
頬が熱くて熱くて、触ったら火傷してしまいそうなくらい。
鏡を見なくても、自分の顔が真っ赤になっていることがわかってしまう。
ドキドキやバクバク、そういうのを全部通り越して…心配が破裂してしまいそうだ。
「…今はまだ、キス以上のことはしません」
「い、今は…」
「せめて、高校を卒業するまでは我慢します」
「っ!?」
とんでもないことを平然とした顔で言ってのける紫呉さんと、動揺してしまう私。