聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
………無理、してる?
まだ話し続ける紫呉さんの口角はたしかに上がっている…ように見えるけど。
いつも紫呉さんを見ている私は、彼が無理やり笑顔を貼り付けていることなど容易く見抜けてしまう。
「…あの、紫呉さん」
「ん?どうしました?」
私が一度呼びかければ、必ず目線を合わせてくれる。
そういう仕草とか優しさを感じる度に、どんどん紫呉さんを好きになっていくの。
紫呉さんが私を大切にしてくれるみたいに、私も紫呉さんを今よりずっと大切にしたい。
紫呉さんに無理して笑わせるなんて彼女失格すぎるけど、でも……。
「その…大好きです…って、伝えたくなっちゃいました。えへへっ」
紫呉さんが大好きって気持ちは、絶対誰にも負けません。
「っ…朝から可愛いことしないでください。これから離れ離れになるというのに、余計離したくなくなるでしょう」
ほんのり耳を赤く染める紫呉さんが、こんなにも愛おしいと思うから…紫呉さんのことをもっともっと知りたくなる。