聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

この気持ちを全部伝えるのは難しいけど、こうやって少しずつ伝えていけたらいいな。



「………翠、今日の放課後は空いてますか?」



紫呉さんに聞かれて二度瞬きをする。



「放課後…?」



放課後…は、特に何もなかったはず…。



「空いてます!」



私の返事を聞いた紫呉さんは「ならよかった」とにっこり微笑み、絡めた指を口元に近づけて…



「今日の放課後、デートに行きましょう。翠が行きたいところでも、どんなところでもも構いません。もしなければ俺にエスコートさせてください。とっておきの場所にお連れします」



私の指にそっとキスを落とし、そんなお誘いをしてくれた。



「っ…は、はい…」



「では、また放課後に迎えに来ますね」



気づけば私は、学校の正門前にいた。



紫呉さんが突然あんなことをしてきたから、頭がぼーっとしてなかなか動けない。



「で、デート…は、デートだよね…」



改めて言われると、なんだかむず痒くなってしまう。
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