聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
もう、手遅れ
「うっわぁ何あの子、めちゃめちゃ可愛い…」
「この高校って芸能人いたっけ?」
「おいおい…!なんか春風さんがパワーアップしてんだけど!!」
「美少女が天使に昇格した……」
なんか、ものすごく視線を感じるような…。
廊下を歩けばジロジロ見られ、ひそひそと声が聞こえてくる。
「…あたし、翠直属のメイクアップアーティストになろっかな」
隣を歩く彩那ちゃんは何やらボソッと呟いて、歩きながらじーっと私の顔を見てくるから余計に不安になった。
「ね、ねぇ彩那ちゃん…?なんか、さっきから色んな人達に見られてる気が…」
思わず小声でそう言うと、「そりゃそうだ」と真顔で返されてしまう。
「今の翠、完全無欠の美少女天使なんだから」
「か、完全無欠……??」
昼休みが終わり、午後の授業を終えたあと。
私と彩那ちゃんは下駄箱に向かうため、廊下を歩いていた。
「ノーメイクの状態でアイドル級の可愛さなのに、メイクアップまでしたら…。多分、翠に直視されるだけでみんなリンゴになるよ?」