聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「可愛いなんて言葉じゃ足りないほどに、翠が可愛すぎて困ってるんです。このまま攫って、俺だけの翠にしてしまいたい…。そう言ったら、翠はもっと困るんでしょう…?」



いつも私をクラクラさせるような甘いセリフ。



「翠の可愛い姿も、そうやって照れてる顔も、俺だけが知ってればいいだなんて我儘は…できれば、あまり言いたくないんです。でも、今だけ…少しだけ、こうさせてくれませんか」



「っ…!!」



それら全てが鋭い矢となり、胸の奥深くへと突き刺ささった。



っ…そんな言い方されたら、嫌だなんて言えないじゃないですか…。



顔から火が出そうなくらいの恥ずかしさも、紫呉さんがそこまで言うなら我慢するしかない。



紫呉さんの腕に込められた力が、いつもより力強くて。



“離さない”って言われてるみたいで…なんだか勝手にドキドキしちゃうっ…。



心臓の音がバクバクうるさいから、聞こえてしまわないか心配になるけれど。



「ふっ…これじゃあ、どっちの心臓の音かわかりませんね」



「っ…ぅ、あ…」



紫呉さんの心臓の音も聞こえてきちゃって、嬉しいやら恥ずかしいやらで頭の中が大パニック。
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