聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
あ…そういえばそんなことを言われた気がする。
「喜んでもらえるかはわかりませんが、俺のとっておきの場所にお連れします」
紫呉さんは微笑みながら私の手を引き、ゆっくりと歩き出した。
……どうしよう、すごい幸せ。
これ以上ない幸福感に包まれながら、私は紫呉さんの隣を歩いた。
*
一駅分の距離を歩くこと約20分。
「す…すごい、綺麗…」
辺り一面に咲き誇っているバラを見て、そう言わずにはいられなかった。
「気に入ってくれました?」
「もちろんです…!!」
紫呉さんの言葉に即刻頷き、もう一度周りを見回す。
「こんな素敵なバラ園、見たことありません…!!」
紫呉さんの“とっておきの場所”とは、なんととても綺麗なバラ園だった。
「ふっ、それは良かった。翠が喜んでくれて、俺も嬉しいです」
「っ、そ、そうですか…?」
…どうしよう、紫呉さんがなんだか更に輝いて見えちゃって直視するのが難しい…っ。
優美に微笑んでいる紫呉さんが、いつも以上にかっこよく見えてしまう。
それも全部、この色とりどりに咲き誇るバラが、より一層紫呉さんを引き立てているんだと思った。