聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

あ…そういえばそんなことを言われた気がする。



「喜んでもらえるかはわかりませんが、俺のとっておきの場所にお連れします」



紫呉さんは微笑みながら私の手を引き、ゆっくりと歩き出した。



……どうしよう、すごい幸せ。



これ以上ない幸福感に包まれながら、私は紫呉さんの隣を歩いた。







一駅分の距離を歩くこと約20分。



「す…すごい、綺麗…」



辺り一面に咲き誇っているバラを見て、そう言わずにはいられなかった。



「気に入ってくれました?」



「もちろんです…!!」



紫呉さんの言葉に即刻頷き、もう一度周りを見回す。



「こんな素敵なバラ園、見たことありません…!!」



紫呉さんの“とっておきの場所”とは、なんととても綺麗なバラ園だった。



「ふっ、それは良かった。翠が喜んでくれて、俺も嬉しいです」



「っ、そ、そうですか…?」



…どうしよう、紫呉さんがなんだか更に輝いて見えちゃって直視するのが難しい…っ。



優美に微笑んでいる紫呉さんが、いつも以上にかっこよく見えてしまう。



それも全部、この色とりどりに咲き誇るバラが、より一層紫呉さんを引き立てているんだと思った。
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