聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「あいつ俺にはあたり強そうに見えて、実はしっかり面倒みいいんだよなぁ。さすが兄貴って感じ」



はにかみながら話す斗真さんを見ていると、本当に紫呉さんのことが好きなんだと改めて実感する。



…って、そりゃそうだよね。



私もあーちゃんのことが大好きで、鬱陶しがられてもその気持ちが変わることはないもん。



何を今更…と自分自身に呆れていたら。



「つっても、本当の兄弟じゃないけどな、俺たち」



「……………え?」



“本当の兄弟じゃない”



今、たしかに斗真さんはそう言った。



聞き間違えなんかじゃない。



その言葉は妙にハッキリ聞こえて、耳にこびりつく。



「…知ってた?俺と紫呉は、血が繋がってないってこと」



斗真さんはどこか申し訳なさそうに眉をひそめた。



「…っ知りませんでした」



震える声と、ドクドク忙しない心臓。



何も知らなかった自分が急に恥ずかしくなると同時に、こんな形で斗真さんから聞いてしまった罪悪感が胸に募る。



きっとこういう話は、本来なら紫呉さんから直接聞かないといけない。



でも、きっとこの話をしてくれたのは斗真さんなりに私を応援してくれているからだと思った。
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