聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
こんなところに来て何かに巻き込まれているということだけ。
でも、泣いたって状況は変わるわけがない。
早く立たなきゃ……。
足に力を込めたとき、誰かに上からグイッと引っ張られた。
え……っ?
「おい、お前こっちこい」
相手はまさかのさっき怒声を上げていた人の声で、見るからに服装が私たちと違った。
黒い生地の長い服に漢字で何かが書いてあるし、よく見たら髪も金髪。
………も、もしかしてだけど。
「ふ、不良さん……ですか?」
思うよりも先に口に出ていた。
そしたら彼は、真っ赤に顔を染めあげてニヤリと口角を上げて。
「…かわい子ちゃんは声までカワイイんだなぁ?」
「っ…ひ…」
全身が「逃げて」と叫んだ。