聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

逸る気持ちをなんとか抑え、エレベーターの前まで来たところでスマホの画面を確認する。



時刻は4時半ちょっと前。



まだ翠は寝ているだろうか……でも。



『朝早くにすみません。起きたら何時でもいいので返信ください。翠に話したいことがあります』



考えるよりも先に打ち込んで、気がつけば送信していた。



いつもならすぐにつく「既読」の文字は、もちろん表示されない。



「…って、そんなの当たり前ですよね。俺は何を考えて…」



普通の高校生は、こんな時間に起きてるはずがないだろう。



今度は自分自身に呆れていると、ちょうどエレベーターが最上階まで上がってきた。



普通に乗り込もうとした、その時だった。



朝日が差し込む静かな廊下に通知音が響き渡り、すぐさま確認すると。



『私なら全然大丈夫です…!何時頃にしますか?』




開いたままのトーク画面に、翠からの返信が映っていた。



「っ…なんで起きてるんですか」



思ってもいなかった予想外の出来事に驚きつつも、それに比例した嬉しさが込み上げてきてついしゃがみこんでしまう。
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