聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「…本当ですか?」
指の隙間から紫呉さんの方をちらりと見て、小首を傾げる。
「っ…本当ですよ」
「…ふふっ。じゃあ、許します」
どういうわけか頬をほんのりと赤く染めた紫呉さんが、なんだか無性に可愛くて笑がこぼれた。
紫呉さんはきまりが悪いようで、目線を逸らしながら私のすぐ横に腰を下ろし、まだ湯気が出ているいれたての紅茶をすすった。
…せっかくだから、私もいただこう。
「紅茶ありがとうございます。いただきますね」
「どうぞ。前とは少し味が違うかもしれませんが」
紫呉さんがいれてくれた紅茶を一口飲んでみる。
瞬間、想像していた渋みとは全く異なる爽やかなフルーティーな味わいが口いっぱいに広がった。
「…!!お、美味しい…」
「でしょう?翠はこっちの方が好みかと思って、仕入れておきました」
そう言ってもらえた私の方が嬉しいはずなのに、得意げに語る紫呉さんの方が嬉しそう。
「私のために…これも、ダージリンなんですか?」
「そうです。俺が飲んでいるのはファーストフラッシュ。翠が飲んでるのがセカンドフラッシュという、甘い香りが特徴なんです。本当なら水出しがオススメなんですけど…と。これは話せば長くなるので、この話はまた今度にしましょうか」