聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
だとしたら、それは違うってちゃんと説明しなきゃ。
でも、どうしたらいい…?
どうしたら私の気持ちが、歪むことなく伝わる…?
…そう思った時には、考えるよりも先に紫呉さんの腰へと手を回していた。
それと同時に、紫呉さんの体がびくりと跳ねる。
「っ、翠…?どうし…」
「…紫呉さん。私は、紫呉さんのことが好きなんです」
「は……」
「好きな人のことならどんなことでも知りたいと思う…ただ、それだけなんです。知ったからどうとかこうとか、離れていくだとか。全然そういうのじゃないんです」
…ちゃんと、伝わってるかな。
不安になって腕に込める力を強めると、更に紫呉さんが動揺したのがわかった。
それでも力は弱めずに、抱きついたまま紫呉さんを見上げる。
「紫呉さんのことが好きだから、なんでも知りたい。何を知っても、絶対に離れたりなんかしません。もう離れるなんてできないくらい、紫呉さんのことが大好きで大好きで仕方がないんですから」
私も紫呉さんに負けじと心を込めて訴えかけた。
だって、今言ったのは本当のこと。
そこに嘘なんて、これっぽっちもない。