聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

それに、紫呉さんはもう自分の気持ちに整理がついてるんだからしゃんとしなきゃ。



「…もう大丈夫です。その…続けてもらえますか?」



「わかりました。もし辛くなったら言ってくださいね?」



こくりと頷いて続きを促し、聞き漏らしのないように紫呉さんの声に耳を傾けた。



「母は元々ヒステリーなところがあったらしいくて。父はそんな母だからこそ、「自分が守らなくては」と思っていたらしいいです。父と出会い、結婚してからはなくなって、俺の知る限りは普通の母親でした」



私の様子をちらりと見てから、紫呉さんは話を続けた。



「ただ、顔から性格まで父によく似ている俺をよく父と重ねていたのは普通ではなかったんだと思います。この前、翠に話した名前の件もそういうところからきていたんでしょう。中学に入学して間もない頃に父が亡くなり、母は日々たまっていくストレスを、泣きながら俺にぶつけるようになりました」



っ…そんな、ことって…。



中学生の頃の紫呉さんの気持ちを思うと、胸が張り裂けそうになる。
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