聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「斗真が…?はぁ…帰ったら説教ですね」
斗真さん、ごめんなさい…!
心の中で斗真さんに謝りながら、今度会いに行って謝罪しに行こうと心に決めると、紫呉さんが私の方に向き直った。
「…色々話してきましたけど、今このNovaにいる理由はそれだけじゃありません」
さっきまではあまり表情を変えずに話していたけれど、今はいつにも増して真面目な顔つきで。
「…紫呉さん?」
かと思ったら、名前を呼べば私の手をぎゅっと握り、薄い唇が弧を描いた。
「あの日、母を守れなかった俺にできることは、一人でも多くの人を守り、救うこと。そう思っているんです」
とても穏やかに。
それでいて、どこか熱の篭った声が部屋に響く。
「あのことがあってから、ここ数年間は罪滅ぼしで続けていました。他のメンバーのことも考えると、すぐに抜けることはできなかったというのもあります。でも……本当に守りたい人ができた」
もう、紫呉さんしか見えなくて。
「翠が、ここにいる理由をくれたんです。翠に危険が及ばないよう、俺にできることならなんだってしたいと心から思ったんです。愛する人のために何かをしたいと思うこの気持ちを教えてくれたのは、翠ですよ」