聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「それならあなたもどうです?俺は気にしませんが」



あ、それはいいかも…!



彩那ちゃんがいてくれたら心強……



「無理。2人の横に並んでるあたしがいたたまれないわ!」



うぅ…悲しいけど、普通はそうだよね。



彩那ちゃんを巻き込んでいいわけがないもん。



「ってことで、私は帰るから!翠、ちゃんと自分の気持ち伝えるんだよ〜!」



「え!?あ、うん!ばいばーい…!」



彩那ちゃんはそう言うや否や、立ち去るようにこの場からいなくなった。



彩那ちゃんって、足速かったんだなぁ…。



しばらく手を振っていると、横からじーっと見られていることに気がつく。



「では気を取り直して…行きますよ、翠」



もうこれ以上、紫呉さんを避け続けるわけにはいかない。



彩那ちゃんに言われた通り、自分の気持ちに素直にならなきゃ。



紫呉さんに差し出された手を遠慮がちに取る。
< 49 / 326 >

この作品をシェア

pagetop