聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「それならあなたもどうです?俺は気にしませんが」
あ、それはいいかも…!
彩那ちゃんがいてくれたら心強……
「無理。2人の横に並んでるあたしがいたたまれないわ!」
うぅ…悲しいけど、普通はそうだよね。
彩那ちゃんを巻き込んでいいわけがないもん。
「ってことで、私は帰るから!翠、ちゃんと自分の気持ち伝えるんだよ〜!」
「え!?あ、うん!ばいばーい…!」
彩那ちゃんはそう言うや否や、立ち去るようにこの場からいなくなった。
彩那ちゃんって、足速かったんだなぁ…。
しばらく手を振っていると、横からじーっと見られていることに気がつく。
「では気を取り直して…行きますよ、翠」
もうこれ以上、紫呉さんを避け続けるわけにはいかない。
彩那ちゃんに言われた通り、自分の気持ちに素直にならなきゃ。
紫呉さんに差し出された手を遠慮がちに取る。