聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

こんなに悲しそうな紫呉さんは、見ていたくないから。



「…はぁ。翠には敵いませんね」



紫呉さんは小さくため息をついて立ち上がった。



それに釣られて私も立ち上がる。



「勝手にヤキモチ妬いて、カッコ悪すぎました。早く行きましょう。みんなが待ってます」



「はいっ…って…え…?」



スッキリした顔の紫呉さんに返事をしてから、今言われたことが頭の中で何度も再生された。



『勝手にヤキモチ妬いて、カッコ悪すぎました』



「〜〜っ!!?」



ヤキモチ…って、あのヤキモチだよね…!?



私の聞き間違いじゃないことを確かめたくて、ずいっと詰め寄った。



「紫呉さん、今のヤキモチ妬いたってなんですか…!?」



でも、紫呉さんはぷいっとそっぽを向いてしまった。



「なんのことかさっぱりわかりません。変なこと言ってないで歩いてください」
< 53 / 326 >

この作品をシェア

pagetop