聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
こんなに悲しそうな紫呉さんは、見ていたくないから。
「…はぁ。翠には敵いませんね」
紫呉さんは小さくため息をついて立ち上がった。
それに釣られて私も立ち上がる。
「勝手にヤキモチ妬いて、カッコ悪すぎました。早く行きましょう。みんなが待ってます」
「はいっ…って…え…?」
スッキリした顔の紫呉さんに返事をしてから、今言われたことが頭の中で何度も再生された。
『勝手にヤキモチ妬いて、カッコ悪すぎました』
「〜〜っ!!?」
ヤキモチ…って、あのヤキモチだよね…!?
私の聞き間違いじゃないことを確かめたくて、ずいっと詰め寄った。
「紫呉さん、今のヤキモチ妬いたってなんですか…!?」
でも、紫呉さんはぷいっとそっぽを向いてしまった。
「なんのことかさっぱりわかりません。変なこと言ってないで歩いてください」