聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
この世の人間だとは思えないくらい顔立ちが整っている男性が、あの2人組みに向かって静かに怒りをぶつけていた。
丁寧な言葉遣いなのに、ゾッとするほど冷えきった冷たい声。
綺麗な顔は、憎悪に満ち溢れている。
「今後一切その汚い手が使えなくなるようにしてやりましょうか」
不良さんたちも、そんな彼を見て震え上がっていた。
「っクソ!!ずらかるぞ!!」
2人組みのうちの1人がそう吐き捨てて、一緒にこの場を去っていった。
「…怖い思いをしましたね。もう大丈夫です。安心してください」
…私、助かった……の?
先程とは別人のように私に微笑みかける彼が、優しく私の頭を撫でてくれて。
私は一気に力が抜けたようにその場に崩れ落ち、意識を手放した。