聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい


***


久しぶりに夢を見た。



幼稚園の時によく遊んでいた、名前も知らない女の子が出てくる夢。



2人で日が暮れるまで遊んで、離れたくないってお互い言いながら家に帰る。



『ぜったいぜったい、また迎えに来るよ。だから……』



***



「……あ、れ…ここ、は…」



夢の途中で目が覚めた。



彼女が何を言おうとしていたのかわからないまま。



起きたらそこは、どこかの部屋の一室だった。



「……また知らない場所にいるの?」



今日は厄日なんだろうなぁ…。



自分で自分に呆れてしまう。



辺りを見回せば、灰色一色。



コンクリートのような壁で、それなりに家具は揃っているから…誰かの部屋なのかな。



ボンヤリしていた意識がだんだんハッキリしてきたとき、ギィ…と扉が開く音がした。
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