聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

そんなのわかりきっていることなのに、胸の奥がきゅっと締め付けられて、少し苦しい。



きっと、紫呉さんは女の子とのデートなんて慣れっこに決まってる。



私はそのうちの一人でしかないんだ。



誰かの言葉一つ一つに心を動かされるのも、2人きりでいたいと思うのも…。



紫呉さん以外知らないし、知りたくない。



出会ってまだ間もないのに、そんなことを思っちゃうのはおかしいのかな。



「そろそろ送りますから、支度してください」



少し感傷的な気分になっていたら、紫呉さんがそう言いながら立ち上がった。



「え?い、いいですよそんな…!悪いですっ!」



私が慌てて手を横に振ったら、「はぁ…」と大きなため息をつかれてしまった。



私、変なこと言っちゃったかな…?



自分の言動を不安に思っていると、紫呉さんは優しく私の頭を撫でてくれた。
< 85 / 326 >

この作品をシェア

pagetop