聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
そんなのわかりきっていることなのに、胸の奥がきゅっと締め付けられて、少し苦しい。
きっと、紫呉さんは女の子とのデートなんて慣れっこに決まってる。
私はそのうちの一人でしかないんだ。
誰かの言葉一つ一つに心を動かされるのも、2人きりでいたいと思うのも…。
紫呉さん以外知らないし、知りたくない。
出会ってまだ間もないのに、そんなことを思っちゃうのはおかしいのかな。
「そろそろ送りますから、支度してください」
少し感傷的な気分になっていたら、紫呉さんがそう言いながら立ち上がった。
「え?い、いいですよそんな…!悪いですっ!」
私が慌てて手を横に振ったら、「はぁ…」と大きなため息をつかれてしまった。
私、変なこと言っちゃったかな…?
自分の言動を不安に思っていると、紫呉さんは優しく私の頭を撫でてくれた。