聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「こんなに可愛い彼女を一人で帰らせるなんて、できるわけないでしょう?それとも…翠と一秒でも長くいたいと思うのは、我儘すぎますか?」
「っ…!!」
甘い。
糖分過多で死んでしまうんじゃないかと心配になるくらい、紫呉さんが甘すぎる。
私にはもったいないくらいの人。
…もう、紫呉さんが昔どんな人と付き合っていたのかなんて私には関係ないや。
今、嘘でも…偽りの形でも、紫呉さんは私の彼氏なことに変わりはないから。
どうにもならないことでクヨクヨするのは、もうやめよう。
「私も、その…紫呉さんと少しでも長くいたいって思います」
悲しむ暇があるんなら、紫呉さんに釣り合うような彼女になりたい。
胸を張って隣に立って、いつか私の気持ちを伝えたい…って。
心からそう思うんです。
「っ…そう、ですか」
私の言葉の後に目を逸らした紫呉さんの頬が、ほんのり赤く染まる。