聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい

「い、妹が…っ!!」



「俺たちも行きます。斗真、準備を」



えっ……?



「言われなくてもわかってる」



紫呉さんに指示を出された斗真さんは、すぐに外に出ていく。



「翠、落ち着いて。急がば回れと言うでしょう?こういう時こそ、姉であるあなたがしっかりするべきです」



「あ…」


紫呉さんの落ち着き払った言葉が、パニックになっていた私の中にすとんと落ちた。



「大丈夫、俺たちがついているということを忘れないでください。妹さんは絶対に助けます」



「っ…」



揺るぎない紫呉さんの瞳が、私を真っ直ぐ見つめる。



今にも泣きそうになったけど、口をぎゅっと結んで紫呉さんの袖を掴んだ。



「お願い、します…っ…。あーちゃんを、助けてくださいっ…」



もう、縋ることしかできなくて。



「任せてください」



紫呉さんの揺るぎない自信だけが、私の平静さを保っていた。
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