聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
「たしかに助けたのは事実です。あんな場所で倒れられたら、こうするしかないでしょう」
「な、なら…!」
お礼をして馬鹿って言われるのは、ちょっと違くないですか…?
そう言おうと思ったけど、眉根を寄せる彼に阻まれた。
「ですが、もしそれが“悪意のある”救済だったら?」
「あ、悪意……?」
言っている意味がよくわからないんですが…。
何が言いたいんです?
またそう言いかけて、息を飲んだ。
「もし、“見返り”を求められたら…あなたは、一体どうするおつもりですか?」
私を鋭く見つめる切れ長の目。
サラサラの髪が目にかかるくらいの距離。
目の前に現実離れした美形があって、声も出せなかった。
「っ…ぇと…」
逸らしたくても逸らせない。