聡明なインテリ総長は、姫を余すことなく愛したい
Chapter2
怖くても
「ほ、本当にこれに乗るんですかっ…?」
「こっちの方が圧倒的に速い。乗らないという選択肢はありません」
「うぅっ…」
怖い…けど、今はそんなことを言っている場合ではない。
一刻も早くあーちゃんを助けに行かないと!
「いいですね?しっかり捕まっててください。振り落とされますよ」
聞きなれないエンジン音が響き渡る。
「っ、はい…!」
紫呉さんの背中に抱きつき、腕にぎゅっと力を込めた。
「繁華街はここからすぐです。急ぎますよ、斗真」
「わかってるって!」
今私が乗ってるのはなんと、紫呉さんのバイク。
2人はどっちも免許を持っているらしい。
手馴れた様子でバイクを準備すると、あっという間に走り出した。
っ…うそ、こんなに速いの?
まさか、自分がバイクに乗る日が来るなんて思ってもいなかったよ…。